アンドロクールは強力に男性ホルモンを抑制することができる抗男性ホルモン剤です。アンドロゲン受容体拮抗薬に分類され、アンドロゲン（男性ホルモンの一種）の作用を抑える働きが期待できます。テストステロンや男性ホルモンともよばれるアンドロゲンは男性の思春期に最も活発に分泌されるホルモンで、男性器の形成や発達、体毛の増加、変声、筋肉増強、性欲の亢進などと密接に関連しています。アンドロゲンが過剰に働くと、ざ瘡（ニキビ）や多毛症、脱毛症、重度の性欲亢進などの、思わしくない作用が出現することもあり、前立腺肥大症や前立腺がんなどの原因ともなります。女性においてはわずかながらアンドロゲンが分泌されており、様々な生理作用に関わっています。アンドロゲンが多い女性は、ニキビや多毛症などの特有の症状が現れる場合もあります。有効成分の酢酸シプロテロンがアンドロゲン受容体を遮断することで、テストステロンがアンドロゲン受容体へ結合することを防ぎます。その作用により、男性ホルモンの過剰分泌が原因となる症状の治療などに用いられています。また男性から女性へのトランスセクシャルの治療にも使用されています。日本では販売中止となりましたが、海外では現在でも使用されています。